
区切火は、
渓流で魚を焼くという行為を、
もう一度現実に戻すための道具である。
釣って、帰る。
それは自然な流れだった。

けれど、
釣って帰るだけでは、
何かが完結していなかった。

現地で焼くことは、
現実的ではないと思っていた。
装備を削ぎ落とす釣行では、
その選択肢は最初から外れていた。
焼きにくさの問題ではない。
調理という行為そのものが、
釣行の流れに含まれていなかった。

区切火は、
その流れをほんの少しだけ組み直す。
一匹を焼くことにだけ最適化した構成。
携帯性を優先した形。
釣って、焼いて、帰る。

その一手間を、
特別なことにしないために。